【長編】続・出産プレイバック

さぁ、いよいよ分娩室に移動してどうなる私!?
胎児ネーム”愛子2008″の運命やいかに??

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分娩台に横たわり陣痛に耐えていると、助産師さんはてきぱきと準備をしている。

特に焦っている様子はなし。
「嗚呼、まだ(出産まで)時間がかかるんだな…」と途方に暮れる。

オルゴール音のCDがBGMにかけられたけれど心は休まらず。とにかく必死。

「いきみたい?」と聞かれても“いきむ”感覚がわからない!
返答するのも一苦労。声が枯れているんだもん。

2~3分間隔で訪れる激痛に心も体もクタクタ。

すると、担当医が到着!
でも、私服から白衣に着替えてその場にいるだけ。

まだなの?早く”愛子2008″よ、出てきて~!

助産師さんから「陣痛が来たら排便するような感じでいきんで」と言われ、無我夢中で肛門に力を入れて息を止めるも「違う、下の方」…わかんないよ~。

陣痛が訪れると赤ちゃんの心音も大きくなる。
(↑隣にあるマシーンから聞こえてくるのです。)
いきむと心音が静かになり、いきむのをやめると心音が聞こえるようになる。
もう汗だく。足はガクガク。

力を振り絞って踏ん張ってみると、体の中で何かが動くのを感じた。
これって”愛子2008″が産道を通っているってこと?
「いまだいぶ進みましたよ~」
来た、きた、キタ~~~!!!

再び陣痛が訪れると同じようにいきんでと言われるけど上手くいかない。
おっ、担当医が手袋をはめて何か準備をしているではないか。

うっすら見える様子にちょっと元気が出る。レベルアップ。

あともう少しだ…全神経を肛門あたりに集中させて息を止めると、また大きな動きを感じた。

あまりの苦しさに今まで出したことのない声で叫んでしまう。文字では再現できないような音。

「声を出しちゃだめ」
「目を開いてライトを見て」
「はい、息を止めて止めて~」

色々と指示されるけれど、体が言うことをきかない。

「お腹の赤ちゃんも頑張ってますよ~」

これまで何度か妄想していた出産の中でこの励ましの声だけはイメージ通りだった。

“愛子2008”に会いたい。楽になりたい。ママになりたい。

一心不乱で踏ん張ると、「赤ちゃんの頭が見えていますよ」って。

目をこれでもかというくらい見開き、歯がかけるんじゃないかというくらいにかみしめ、分娩台を壊すくらいの気合いで手足に力を入れる。

これまで”愛子2008″と語りかけてきたけど、ここで初めて「実生、頑張れ」と旦那様と決めた名前を心の中で連呼し続けた。

すると、どっから出るんだ?という大きなものが体の中でズルズルと動くのを感じた。

こ、怖い。怖いよ~。
痛みや不安をかき消そうと「実生、実生、実生~」何度も絶叫。

そして。

出産プレイバック「フニァ~」という小さな声の後、オギャアオギャアという元気な産声が耳に入りました。

生まれたんだ、産んだんだ!

「おめでとうございます~」の声に私も号泣。

先生に抱き上げられた赤ん坊が目に入ると、感激のあまりすぐさま抱き寄せて「頑張ったね、ありがとう」と語りかけました。

ようやく、ようやく会えた。愛子2008…いや、実生!

思いっきり抱きしめようとしたら「ハイ、ではお預かりします~」と引き離されてしまい、実生は別室へ。
あれれ?と思っているうちに私の処置が始まる。

「少し切りましたからね」

うそっ。全然気づかなかった。

処置している最中はチクチクと痛くて、早く終わって欲しかった。
出産の痛みに比べたら大したこと無いんだろうけれど、とにかく実生に会いたくて。

処置が終わると、実生が再登場!
助産師さんのフォローですぐさまお乳を飲ませました。

まだ母乳は出ていないだろうに、一生懸命にチュパチュパ吸う姿を見て世の中にこんなにも可愛い存在があるんだと感動した。

あれからだいぶ時間が経ち、陣痛や出産の痛みの記憶は薄らいでも、実生が生まれた瞬間の感動や抱きしめたときの重さと温かさ、初授乳の喜びは忘れられません。

2008年8月9日19時21分。
私は初めてママになりました♪